quadratureのシニカル日記

イヤなことは壺の中に

電車の中で叫ぶ女性−続き

奇遇と言うか、仰天というか、件の女性と帰りも同じ電車に乗り合わせてしまった。東京でそんなこともあるのだ。
夕方、六時半過ぎ、通勤ラッシュがちょうど始まるあたりである。出来れば、と言うか絶対にお会いしたくなかったけれど仕方がない。

女性の方が既に乗車していて、乗り込んで来る客に対して、「携帯抱えた盗撮魔が何匹乗って来た!」と怒鳴り散らしている。朝と同じ会社名をまた連呼していたので、乗客を見て社名を判断しているのではなく、既に頭の中にインプットされている、ある会社の名だけを叫び続けているらしい。
周りに誰も居なくなると、声は少し小さくなって、それでもぶつぶつ文句を言っている。年は四十から五十才くらいで、深めの帽子、何と言えば良いか、昔のチューリップハットのようなものを被り、叫ぶときは自分の顔が外から見えないように、帽子を手で目の前に降ろしている。
どこで下車するのだろうと思っていたら、A駅ですんなり降りた。と思ったら、階段の方へは行かず、ホームの反対側の自販機の後ろに立ち止っている。ははあ、逆方向の電車に乗り換えてまた叫ぶのだな、と思った。
一日中、あれを繰り返しているのだろうか。社名連呼され非難された会社はちょっとかわいそうだけれど、聞いた人は事情を知っているので同情するだろうし、もっと言えば名前を広めて貰えたわけだし、案外、損にはならないかも知れない。それに件の女性も、「痴漢だ何だ」と騒ぐわけではないので聞き流してやれば良い。