quadratureのシニカル日記

イヤなことは壺の中に

日経新聞の理研に関する記事

何だか、小説というか、ドキュメント番組みたいで大そう面白い。日経オンライン>ビジネスリーダートップ>コンフィデンシャル の中の「小保方博士と理研の迷宮」上・中・下(2014/5/12)である。

  • 上「悪意」の源流
  • 中 スター誕生の裏側
  • 下 統治なき肥大化

一般の人が思っているような「どうせ腹黒いやつが無理やりプロモートしちゃって後で困ってるンでしょ」を正面から記事にしている。そして、理研の巨大化の背景を当時の政治状況まで交え、ひたすら冷静に書いている。誰を責めると言うのではなく、読んだ人を「ああ、当時そういう流れが、根底にあったわけね。一つ物知りになった」と満足させる記事になっている。登場人物も幅広く、歴代の理研理事長や、自民党共産党と言った政党から、文教族議員、大学間の争い、果ては日露戦争の乃木大将までたとえに取り上げられており、全く退屈しない。
著者はいずれも編集委員の金田信一郎さん。

二つほど印象に残ったトピックスを挙げて置く。
一つ目は、アジ化ナトリウム事件。これは確か、京都の話だとばかり思っておったのだが、理研でもあったらしい。京都の方は検挙されているが、理研の方は未解決である。アジ化ナトリウム事件をどうして覚えているかと言うと、京都でこの事件が発生したときの当事者の言がスゴかった。

お茶を飲んでみんな具合が悪くなったのですが、ゼミが終わってから警察に通報しました

おい、おい、というか、さすがというか、我々一般世間の者とは違うというか、恐れ入りました、と思った。

二つ目は理事長の交代劇である。
当時の文科省の情報として金田さんは以下のように記している

文科省はもう1つ、危惧していることがあった。当時の理事長だった小林俊一が、「適正規模」を唱え続けていた。独法になれば、拡大路線から舵(かじ)を切る危険を感じていた。

確かに何事でも、全員が知り合いでかつ全員が優秀な、小さなグループで「ガ〜ッと」やった方が旨く行く場合が多い。適正規模とは良く言ったものだ。その通りに違いない。