quadratureのシニカル日記

イヤなことは壺の中に

にやにや笑うということ

ひところ、海外に出かける日本人の特性の描写で「意味無くにやにやしている」という論評がなされた。当時、それを特に否定するでもなく肯定するでもなく、英語がわからないので仕方なくにやにやしている、という感じだった記憶がある。終戦直後、米軍進駐を控えた政府が、住民に対して「絶対に意味無くにやにやしない」という通知を出した。他にもいくつか、米軍兵士に対する対応が書いてあったらしい。「わからないのに曖昧な返事をするな」など、どれもまっとうな指摘で、現代社会でも結構、大事だと思われる。一体、当時、誰がそんなに「良くわかって」いたのか不思議な気がする。
さて、どうして「意味無くにやにやしている」のがまずいのかであるが、自分はこれまで「にこにこしてたっていいじゃないか」と思っており、なぜダメなのか不思議だった。それが、ようやく最近わかった。昨年の夏に仙台であった国際会議のポスターセッションで番をしていたら、韓国人とおぼしき研究者(院生かも知れぬ)がやってきていろいろ質問をする。どれも的外れで、それでも必死に英語で応答したのだが、一つ答えるたびに「ニヤニヤ笑い返す」のにとてつもなく腹が立った。どう見ても「にこにこ」でなく、鼻で笑う感じなのだ。これをやってはいけないのか、とそのときようやくわかった。件の研究者にお礼を申し上げたい。