quadratureのシニカル日記

イヤなことは壺の中に

世界の三流国化を受け入れた江戸幕府

iRonna〜江戸時代はなぜ260年も続いたのか〜北朝鮮と同じ「世界の三流国化」を受け入れた江戸幕府の大誤算『八幡和郎』
面白い。

  • 江戸幕府は非常に安定していた。李氏朝鮮のやり方を取り入れたからで、現在の北朝鮮の安定と非常に似ている。
  • じり貧を回避しないという気になれば、国家でも企業でも個人でも長く生き永らえることは可能
  • 家康は大企業の経営者タイプ
  • 秀吉の時代には世界最先進国に近づいていた日本は江戸時代260年のうちに「世界の三流国」に
  • 儒教の女性蔑視、男女隔離の思想が朱子学とともに入ってきて、女性への差別が徹底され、政治の表舞台からも追放
  • 儒教的な農本主義にたった江戸幕府は、米に対する年貢に頼った極端な税収構造
  • 米以外からでは年貢が取れないので、各藩は米を増産する。そうすると当然過剰生産になり米価が下がってしまった
  • 1人あたり1石の消費だが、これは1日換算では5合にもなる
  • 民政を各藩に任せたために、気の利いた「名君」だけがあらかじめ米を買い占めて自藩の領民を救った
  • 西日本の雄藩などは商品作物の作付け奨励や、専売制の実施といった政策で、新しい税収の確保に努めたのだが、幕府や東日本の藩は全般的に、税収確保の流れを「体制の危機」ととらえて抑制した
  • 幕府は松平定信寛政の改革(1790年前後)に代表される贅沢禁止などにより、税収が増えないならGDPを減らせば租税負担率は低下しないというとんでもない政策
  • 陶磁器も明の滅亡前後の混乱による景徳鎮の衰退に乗じて、一時的に市場が拡大したが、中国王朝の復活とヨーロッパでのマイセン焼の発展で全盛期は長く続かなかった
  • 田沼意次が「乾隆帝バブル」の清王朝にナマコやアワビ、フカヒレなどを俵に詰めた俵物(たわらもの)を積極的に輸出して莫大な利益
  • 田沼失脚後の松平定信は、できればオランダとの貿易もやめたいくらいという貿易に後ろ向きの態度に終始して事態を悪化
  • 農民は、商品作物のおかげで豊かになることもあったが、主力作物の米に重税を課された上に米価も低迷したので苦しい生活が続いた
  • 町民は税金もあまり取られないため豊かになった。
  • 時代劇に出てくる江戸の町民が幸せそうなのは、
  • 薩摩藩琉球を支配していた上に、江戸中期以降は、徳川家との縁組を強化し、ついには、11代将軍徳川家斉と13代将軍徳川家定の御台所を出すまでになり、御三家に劣らない治外法権的な地位を確立した。この地位を利用して密貿易や、大坂商人から強引な借金棒引きにも成功した。
  • 藩校では算術を教えなかったので、武士たちは軍人としても官僚としても役立たずで、戦国時代の先祖の功績による「年金生活者」
  • 日本の教育が先進的だったというのも大嘘だ。よく言われる識字率の高さについては、日本では仮名が読み書きできるかどうかだが、中国では数千字の漢字の読み書きで判断していたのだから、そもそも比較基準が大きく違う。

最後の節だけは納得しかねる。ここは逆に仮名の発明によって底辺のレベルが上がった、と捉えたい。